神の山

 白谷雲水峡から帰って、お風呂に入りのんびりしていました。
 明日は縄文杉
 今日以上にハードな行程です。
 でもこの旅で一番の楽しみでもあります。

 宿のオーナーが今日はお祭りがありますよ、って教えてくれました。
 屋久島ご神山祭りというのだそうです。
 興味があったので行ってみました。

 とても綺麗な夕日でした。
 会場は沢山の人で賑わっていました。

 とにかくこの屋久島の旅で一番多く食べた物じゃないかな?
 お祭りで、ビーチで観光地でと色々な所に屋台があり売ってましたから。
 マンゴーかき氷です。

 山から汲んできたご神水を榊の枝を使って振り撒いています。
 この水を浴びると、この一年は無病息災でいられるのだとか。
 厄払いなのかな?
 と、ここまでは普通、何処でも見られるお祭りです。
 凄かったのはここから。

 やぐらが組んであるのですが、真ん中の大きな柱だけは固定されておらず、太いロープが巻き付けてあります。


 そしてロープの両端をお祭りに来ていた人がそれぞれ持ちました。
 両端はそれぞれ海と山の方にありました。
 なんだか、綱引きをするみたいな形になりました。
 違うのはロープがやぐらの真ん中に柱に巻きついていること。
 しばらくすると、やぐらの上から大きな声で号令がかかりました。
「海、引けぇ〜!!」
 そしたら海側にいた人は一斉にロープを後ろへ引っ張りました。
 で山側にいた人は何も抵抗せず引っ張られるに任せて前に走り出したんです。
 当然やぐらの中の柱は回転しました。
 次に
「山、引けぇ〜」
 の号令。
 そしたら今の逆、つまり山側でロープを持っていた人達が後ろへ引っ張り、海側の人はロープを持ったまま抵抗せず前に走り出しました。
 当然今度は柱は逆方向に回転しました。
 最初は何をしているのか分かりませんでしたが、微かに匂ってくる香りを嗅いで、やっと分かりました。
 こげ臭い匂いがしたんです。
 そうか、火起しをしているんだ。
 それを超巨大サイズで行っているんです。
 本当にこんなんで火が起きるのかなと思って見ていたらなんと…

 煙が起きているのが分かるでしょうか?
 もう皆も引っ張ったり、前に走ったりの繰り返しで疲れもピークに達するのでは?と思った頃に本当に火が点いたんです。

 その火を、矢に移して海に向かって射りました。
 何本かを射った後に浜にあったやぐらに点火して燃え上がりました。

 これが神様を迎える火となるのだとか。
 本当に雄大なお祭りでした。