激痛

 好事魔多し、なんていいますが魔と言うのは、つまり悪いことって言うのは好事じゃなくてもやってくる。
 今日はいつもと同じ朝になるはずだったのですが、突然左足に激痛が走り、立っていられなくなりました。
 原因は分からなかったのですが、なんとか足を引きずって病院まで行ったのです。
 診断の結果は肉離れ。
 激しいスポーツしていたわけでもないのに、何故??って思ったんですが、朝起きてすぐとか、寒い時などは筋肉が硬くなっている時に突然動かすと、なってしまうのだとか。
 本当にとても歩けないほど痛かったので、足を引きずるようにして病院の中を歩いていたら、見かねた看護師が車椅子を用意してくれました。
 最初は結構抵抗あったのですが痛みがひどくなってきて、歩くことも出来なくなりそうなので、利用することに。
 生まれて初めての車椅子です。
 診察室までは看護師さんが押してくれたのですが、廊下で待っている間は退屈だったので、車椅子を自分で動かしてみました。
 最初は方向転換に、左右どちらの車輪を前と後ろのどちらに動かせばいいのか分からなかったのですが、なんとか、バックをしながらの幅寄せやその場での180度ターンなんて出来るようになりました。
 それにしても使って初めて分かったのですが、車椅子に乗ると本当に視界が低くなってしまい、不安になるのですね。
 院内ならともかく、外に出たらその不安はもっと大きいでしょう。
 なんせ、倒れたら一人で起き上がれないという恐怖が、常に付きまとうのですから。
 本当に長い時間待たされて、ようやく呼ばれたのは、私が、
「クララが立った!」
 と一人アルプスの少女ハイジごっこを2〜3回やり終わった後。
 お陰でまた足が痛くなったのですが。
 
 肉離れというのは、特にこれと言った治療法は無く、安静にして治るのを待つしかないのだそうです。
 要は、日柄ものということですね。
 だから絶対に、左足に負担をかけないようにと念を押されました。
 ハイジごっこしてるの見られたかな?
 
 湿布をしてもらったとき、足は内出血のせいでパンパンに膨れ上がっていました。
 痛いはずです、ものすごくね。
 
 一通りの治療を終えた後で、今度は松葉杖の使い方の講習を受けました。
 松葉杖を使うのも生まれて初めてです。

 で、分かったことなのですが、想像以上に大変なんだなぁということ。
 特に階段の昇り降りの怖いこと。
 
 日本の駅は上りのエスカレーターはあっても割と下りって無かったりするんですよね。
 杖を使うことで色々と気づくことが出来ました。
 
 松葉杖をついている人には親切にし、譲らなければいけませんね。

 いつもだったら何でもない道、それこそ病院から駅まで歩いて5分で行けるような距離を、今日は杖をついて30分かけて歩きました。
 普段の私は、関西の人間に「歩くの速いね」って言われるくらいのスピードで歩いているのですが、今日は大人は勿論、子供まで私の事を追い抜いていきました。
 不思議なもので、たったそれだけのことで、いつもの見慣れた道が、風景が、まるで違うもののように見えてくるのです。
 ま、速ければいいというものでもない、遅いのが悪いというのでもない、
 今の自分の速さで歩くことなのかな?
 ギアを自在に切り替えてさ。

 それにしても、日本の駅というのは、もっと杖をついた人、杖を使っていなくても足腰の弱い人の事を考えて作るべきでしょうね。
 これでは健康な人間以外は電車に乗るなっていっているみたいです。
 やたら階段ばかり作って。
 バカめ。(エクスカリバー風に)