君去りし後、そして

 悲しみというのは、悲しいことが起こった瞬間よりも、『その後、ずっと続いていく時間』のほうが、はるかに過酷で、痛くて寂しいものだという持論があります。
 とは誰が言った言葉だったでしょうか。
 
 ふと庭を見ては、つい、もういないはずの愛犬の姿を探してしまい、何とも言えない気分になります。
 でもなんだかまだ呼べばひょっこり来そうな気がまだ取れない。
 
 もう使わないであろう、ジフテリアの薬の袋、餌ばこなんか見てると、全部食べてきなよ!、君以外誰も食べやしないんだからって、ついついね。
 当分続きそう。

 彼の遺骨が奉納してあるお寺に行ってきました。
 悲しいけど、その悲しさと同じだけの楽しい日々をくれたわけなんですから。
 これからは君がくれた優しさのほんの何%かでもいいから、他の人に伝えられたらいいな。
 そうして思いは繋がり、どっかで君は生きていることになるのだからさ。
 全ての人に忘れられるその日までね。

 御寺の住職さんが帰りに花梨をくださいました。
 大きな、いいにおいのする花梨です。
 
 早速ホワイトリカーに入れて花梨酒にしました。
 これが飲みごろになるころに、また皆で君のことを、君との思い出を語り明かす事にします。
 まだちょっち君の話をするのはきついんで。

 バイバイ。
 また後でね。