バーロー

 日本語に限らず母語以外の語学を勉強した人なら分かると思いますが、最初に覚える言葉って言うのは教科書にあるものではなくて、ネイティブの話しているしょうもないことだってりするんですよね。
 実際、生徒の中には、そんな日本語を誰に教わったの??って聞きたくなるような言葉をポロッと言ってたりするんです。
 学校の中ならいいですが、日本の社会の中では許容され難い部分もあるので、気づいた時は意味と日本人が聞いたらどう思うかをきちんと教えているのですが。
 今日も生徒に質問されました。
 『バーロー』と『言えっつーの』の意味が分からないとか。
 誰かに言われたみたいなんです。
 しょうもないこと言ってくれたなぁと思いつつも簡単に説明しました。
 私は俗語や中傷の言葉を否定しません。
 いわゆる人権というものを勘違いして言葉狩りをするようなことはしたくないんです。
 どんな言葉にも生まれてきた経緯があり、言葉を無くすということは、それに繋がる歴史や人の思いも消してしまう事になるのですから。
 それに言葉を知るためには、いいのも悪いのも、綺麗なのも汚いのも知る必要あるでしょうし。
 大切なのは使う時、言うべき時を間違えてはいけないということでしょう。
 中にはきちんとした文法として教える言葉もあります。
 例えば『ごとき』
例文 私は長年やってきたんだ、老いていても、彼ごときに負けるはずがない。
 これを授業で扱う時は相当疑問に思いました。 
 いつ、誰が、どんな時に使うのかなってね。
 普通の日本人の会話で『ごとき』なんて出てきます?
 会話でなくても、文面や改まった場所でもですが。
 正しい意味以前に、自分に対してごときなんて言われたら、どんな人でも相当気分を害するでしょうね。
 たとえ本当の事であったとしてもですよ。
 覚えておいて欲しいですが、決して人に対しては使わないで下さいと注意しました。
 自分になら私ごときが〜なんて使いますが、それでもあまりいい表現とは思えません。
 卑屈になり過ぎじゃないかな?
 生徒には、教科書以外の言葉でも質問されたら色々と教えていますが、一つ釘をさしています。
 他の先生の前では絶対に使わないこと、そしてもし使っても私に教わりましたと言わないことって。
 ま、誰かしらの口から洩れるでしょうけどね。
 いつかは。
 その時の為の言い訳考えておかないと。