引っ越し

 知り合いが引っ越しをすると言うことで手伝ってきました。
 気ままな独り暮らしで最初は始めても何年か経てば物は増えてしまうもので。
 大分処分したみたいです。
 それでもまだ多くて部屋の中に運ばれた段ボールの山を前にホントにこれ全部片付くの?って思いましたが。
 でもやる気とその気、それに知恵と勇気、工夫と妥協、でどーしてもダメな時のあきらめ。
 そこら辺が丁度よくミックスされると案外なんでもうまくいくものなんですね。
 
 でも日本の引っ越しって本当に大変。
 なんせ日本独特のシステムの敷金、礼金、仲介手数料があります。
 部屋に入るためには家賃の6ヵ月分のお金を最初に払わなければいけないのですから。
 いくら敷金は出る時に返ってくるとは言え相当たいへんです。
 
 それに海外では部屋にある程度の家具が付いていますが、日本では必要な生活道具全部揃えなければいけないし。
 引っ越し貧乏なんて言葉があるのも頷けます。
 
 私の場合もロンドンで3回ほど引っ越しましたがそれ程苦じゃありませんでしたし。
 ま、フラットシェアという形を取っていたからかもしれませんが。
 洗濯機や冷蔵庫は共用で使っていましたし、収納の棚やチェスト、机に椅子は元々部屋にありましたし、台所用品も大家が貸してくれたり前の人が使って置いていったものを使っていましたし。
 で、私も帰国の際には使っていたものを人にあげたり、部屋に置いてきたりしましたし。
 
 色々な想いを胸に日本を遠く離れて英国の地で暮らした多くの人の手を渡り使われ続けた道具の数々。
 私の前にこの道具を使ったり、またはこの椅子に座り机に向かった人はどんな人だったのか、今はどうしているのかなんて思っていると、古いものが九十九と呼ばれる理由が分かるような気がします。