雪音
雪のうっすらと積もっている中をバイトに行ってきました。
駅まで自転車ですが、何度かスリップしてハンドルを取られそうになりました。
この歳で自転車に乗ってて転んで大けが、もしくは頭強打して死亡なんてことになったら、それこそ人にせせら笑われることでしょう、私らしいって。
電線の上に雪が積もり、その重さでたわんで、それが限界点に達したときドサって落ちてくるんです。
そう、上にも注意していないといけない。
運悪く当たるとこれが結構痛くって。
朝まだき松の上葉の雪は見む日影さし来ば垂れもぞする
木の上に積もった雪が滑り落ちることを垂ると書き“しずる”と言います。
ま、今では木からでなく電線なのですから。
それでもそれが現代の情緒になるのかな?
電線のある風景ってあまりいいとは思わないですけど、日本の風景としてなんか郷愁を覚えることもあるみたいで。
それにしてもこの『垂る』という字は面白いもので、雪がすべり落ちることを言うときは
“しずる”と読むし
長く垂れ下がることを言うときは
“しだる”と読みます。
滴り、流れ落ちる様や、物の末端が下がる時は
“たる”って読みますし。
もっとも“しずる”とパソコンに入力しても『垂る』とは変換してくれませんが。
雪景色というのは本当に綺麗なものです。
どんなものの上に降り積もっも、ほんの一時だけではありますが美しい風景に変えてくれます。
その下にあるものを覆い隠すことで。
もっとも永遠に溶けない雪というのは、そう多くは存在しませんから、すぐにまたいつもの見慣れた風景に戻っていくのでしょうけど。
そういえば雨が降る音、雨音のように雪も降るときって音がしますね。
雪音ともよぶのでしょうか。
雪の降る音に耳を傾けながら一人静かにこたつで過ごすのもいいですけどね。
とりあえず現実は情緒なんか気にせず、ただ事態を悪化させますので。
今は雪で電車が遅れてバイトに遅刻なんてことにならぬよう祈るのみです。