縁は異なもの味なもの、そして割と良いもの
以前お世話になっていたホストマザーの新居に彼女の息子さん夫婦と遊びに行ってきました。
この前生まれた赤ちゃんも一緒です。
ホストマザーのメルがロンドンの家を処分して引越したのは今年に入って。
場所はロンドンより車で南西に下ること1時間半の所にあるヘイスティングス。
もうすぐ先はドバー海峡という場所です。
ロンドンを出ると風景はガラリと変わり広々とした畑や牧草地帯が広がっていました。
山というものがありませんから何処までも遠くまで見渡せるので余計広く感じられるのでしょう。曇り空でしたが、地平の彼方から沸き立つ、まさに八雲と呼べるような雲にははっと目を見張るような美しささえ感じられました。
さて空の風景にも見飽きた頃ようやく到着。
ゲートをくぐると広大な敷地がありそこにあったものは…
沢山のコンテナでした。
大型トラックの荷台の様なあれです。
コンテナの一つ一つには窓や扉があり、どうもその中で生活しているみたい。
同じようなコンテナばかりでどれがメルの住居なんだかと思っていたら、彼女の方が先に私達を見付けてくれました。
久し振りに会いましたが相変わらず元気そうでした。
早速コンテナ、では無く部屋の中に。
入ってみてびっくり。
外側のコンテナ特有の無機質さ、無骨さからは想像出来ないくらい内装はお洒落なデザインでした。
決して広いとは言えませんがとても居心地良く、こんなとこに住んでみたいと思えるほど。
ふと思い出しました。
まさしく私がホームステイしていたあの家をそっくりそのまま持って来たような感じなのです。だから初めてなのにどこか暖かく懐かしかったのでしょう。
他にもキッチン、トイレバス、ベッドルーム、書斎もあり、ネット環境もあります。
キッチンには冷蔵庫、電子レンジ、オーブンは勿論、なんと食器洗い機まで完備。
トレーラーハウスというらしいのですが、沢山集めて一つの集落を作るまでになったみたいです。
新居と聞いていたのですが、そうではなく一時的なものだとか。一年経ったら出なければいけないとのことですので。
だからカウンシルタックス(いわゆる住民税ですね)はかからないんですって。
でもその代わり住所というものがないですから郵便が届かないのだとか。
でも携帯とネット環境があればほぼ問題ないのでしょうね。
こういった場所他にもありそうですから転々と移り住むのも面白そうです。
で、付いて早々、飲み会です。
ホストファーザー得意のカクテルを次々と空けて、ホストマザーが用意してくれた食事に舌鼓を打ち。
この家のリビングの特徴は何処に座っていても必ず手の届く所にお酒のビンとおつまみが置いてあることですね。
ホームステイしてた頃は毎日のようにホストマザーの夕食食べていましたが相変わらず美味しかったです。
時々赤ちゃんが泣き出したりとありましたが、皆が交代であやしたり、ミルクあげたり、寝かしたり。
ホストファーザーのペイトはホントに嬉しそうに赤ちゃんを抱いていました。
彼を知っている人に見せたくなるくらい。
冗談でグランパだよって言ったらドツカレました。
何処か嬉しそうでしたがやっぱ痛かった。
私も何回か抱かせてもらいました。
初めて会った時は片手でらくらくでしたのに、今はずっしり重く、身体全体で受け止め抱き上げているといったとこです。
もう体重は倍近くに増えていますから。
そしてこれからもっともっと大きくなるんですし。
笑ったり、げっぷしたり、しゃっくりしたり、その度に皆で大笑い。
どんな仕草も可愛くって可愛くて、お持ち帰り!!なんちてね。
次ぎ会えたとしても貴方は私の事を覚えていないでしょうけど、私は絶対絶対忘れないからね。
貴方もここロンドンで出会う事の出来た、私に出会ってくれた大切な人の一人なのですから。
だからありがとう。
私は無宗教な上に神の存在なんて否定する以前に考えた事もありませんが、(だって神なんかいないというのは神の存在を前提とした言い方みたいなので)それでもこの赤ちゃんを抱いている時は何かに祈りたくなるような気分になるのです。
何に何を祈るのか分かりませんが。
本当に縁は異なもの味な物。
たった一人の人との出会いが、やがてはこんなにも多くの人と繋がりになるのですから。