戦争を終わらせるための戦争

 恥ずかしげも無くあるといえるのはアメリカぐらいなものでしょうか?
 
 英国の素晴らしいところの一つに多くの博物館や美術館が国籍を問わず誰にでも無料で開放されているということでしょう。
 大英博物館を始め、多くの博物館や、美術館に足を運びました。
 展示物を端から端まで見るのではなく、(日本みたいに入場料払っているとついそうしたくなるのですが)お気に入りの展示物の前のソファーに座って(実に沢山のすわり心地いいソファーが何処にも設えてあるんです)ゆっくり時を過ごすのもいいです。
 ま、そんな時間なんて、目の前の展示物の過ごしてきた時間に比べれば、ほんの瞬きすらほどのものでもないでしょうけど。
 でも実は一つだけ行っていない博物館がありました。
 LambethNorth駅の近くにある『帝国戦争博物館』です。
 ガイドブックの紹介に実際使用された重火器が並んでいるぐらいのことしか書いてなかったので、それほど興味が湧かなかったのです。
 しかし行ってきた今では、なんでもっと早く行っておかなかったのだろうと後悔しています。
 行くべき、いや行かなければならない、見ておかなければならない、そして知っておかなければならないことなのです。ここへ来て私の持っている戦争の知識(なんていうのもおこがましいですが)が如何に薄っぺらなものか思い知らされました。
 重火器はあるにはあったのですがそれよりも、戦争当時の映像や写真の資料がよくこれほど残っていると思えるくらい沢山ありました。とくにホロコーストアウシュビッツに関してものは見ていて胸の奥に込み上げてくるものを抑えるのにぐっと力をこめたほどです。
 何の為に戦争をするのか、実際起こっていることに対して愚問ではありますが、人の数だけあるでしょう。
 正義、自由、国、金のため。でもそれって戦争しなければならない程の理由になるんでしょうか?
 戦争が文明を、人類を発達させたなんていうのは、安全な場所にいて戦争でお金儲けしている人だけでしょう。
 この博物館を造り、多くの人に無料で開放しているのは、戦争で人がしたこと、されたことを知り、そして繰り返さないためのはずですが、まだ戦争を終わらせることが出来ずに、いえそれどころか戦火を拡大しています。
 日本もアメリカに従ってイラクに戦争をふっかけました。
 戦場にいって銃を撃たなければ、戦争をしたことにはならない、っていう日本の政治家の言い様は本当に世界に恥をさらしてくれました。ま、そのお陰で、日本は戦場の後方地であること、アメリカ軍の下っ端になって殺したり殺されたりのお手伝いをするためのお金を払っていることを忘れることが出来るのですが。