問題が一番の問題

 私たち日本人が英語の力がどれ程あるかという事を試すのに英検、つまりは英語検定試験を受けるのと同様に、海外の人が日本語の能力を証明するために『日本語能力試験』というものがあります。
 日本人の受験は出来ませんが、一級あたりの問題を見てみると、日本人でも即答は出来ないのでは?と思えるほどの難しい問題もあります。
 日本の大学に入学したり企業に入るためには、この試験で一級を取ることを条件としているところが多いのです。
 しかし、中にはこれは問題としてどうなのだろうというものもあるのです。
例えば

3 友だちがつき合っている彼には、なんと奥さんがいた。しかたがない別れ(   )。

 1)させるしかない  
 2)させられないだろう 
 3)させるべきではない  
 4)させるわけにはいかない

 括弧の中に入る適切な日本語を1〜4の中から選ぶということなのですが、問題文の内容に私はどうにも疑問がありまして。
 なんでこんな問題を作るのかとも思うのです。
 正解は勿論、1です。

 でもある生徒からこんな質問が出たのです。
S:「先生、この場合に別れさせるべきなのは誰と誰なのですか??」
 一瞬答えが詰まってしまいました。
 倫理的に考えれば、友達と友達の付き合っている彼ということになるかもしれませんが、その彼と奥さんを別れさせてしまえば、付き合ううえでの問題は無くなる訳ですし。
 友達の為にそこまでやるというのも有りなのかな、なんて思えてしまって。略奪愛というやつでしょうか。
 こういう時に私がよく使う手は
「中々面白いところに気づきましたね。皆さんでしたらどうしますか?皆さんの友達が同じような立場にあったら?」
 と生徒側に振ってしまうのです。
 すると色々と面白い意見が出てきました。
 浮気や不倫に関する考え方というのがこうも違うのだな、と思うくらいに。
 
 そして私はもう一つの可能性をも思いつきました。
 もし、もしもですよ、この友達が実は男であったらと。
 そして、その男友達が付き合っている彼には奥さんがいた。
 ということは…実は、友達と付き合っている彼はゲイのカップルで、奥さんとの結婚とは世間をカムフラージュするためのものだったとしたら。
 そして奥さんはその事にまだ気付いていないのだとしたら。
 果たして別れさせるべきなのは誰と誰なのでしょう。
 問題文がとても抽象的で、読む人によって色々と解釈の仕方が違ってきてしまうようでは試験問題としては不適切ではないかなとも思ったのです。
 でもこれを生徒にどう説明したらいいものやら。
 
 それにしても、問題を作った人間に一体何があったのでしょうか?
 兎に角、問題文の内容が本当に問題じゃないかな?
 ま、この問題文からこんな想像をして生徒にどう説明しようかなんて考えている私もちょっチ問題アリかな?