スシポリス
『スシポリス』という聞きなれない言葉を見付けました。
ま、分かりやすく言うと『寿司・警察』といったところでしょうか。
これでも全然分かりませんね。
要は、ここ最近増えつつある日本食レストランに対して、きちんとした日本食を出しているのかということを見回り取り締まるのだとか。
日本食レストランと銘打っておきながら、出される食べ物があまりにも粗悪なものが多いので、これからはレストランに対して認証制度を導入するのだとか。
この認証がなければ日本食レストランをすることが出来ないということです。
ガイドブックが大幅に書き換えられるのかも。
そもそも、こんな下らないことを始めた理由と言うのが、日本から来る観光客がロンドンの日本食レストランで出されるものに対して、文句を言ったことにあるらしいのです。
寿司屋に行って、「カリフォルニア・ロールは寿司ではない!」なんて具合に。
こちらに長く住んでいるならともかく、数日の旅行でロンドンに来て、美味しい寿司を食べようなんて考える方が、どうかしていると思うし、そんな人間の言うことに何で『スシポリス』まで発動させるなんて。ここまで念入りに、日本人の馬鹿さ加減を世界中に宣伝することも無いのに。
もう、ただただ恥ずかしい限りです。
なんで、こんなことに行政が口出すのでしょう?
日本食とはこうでなくてはいけない、なんて、誰が決めることが出来るのでしょう?
そういえば、私の部屋の近所にあるお寿司屋さんにも、恥ずかしげも無く江戸前寿司なんて看板出してますけど、あれもどうかと思うのですけどね。江戸前寿司なんて、出しているわけ絶対無いのにさ。
こういうのは、別に構わないみたいなんですが、それも充分に変。
大体、日本国内を見たって色々な国の料理がありますが、ではそれら全ては、本当に本物の味とでもいえるのでしょうか?
そのことで他の国は文句を言ったりするのでしょうか?
一時、イタリア料理のことをイタメシなんて呼んで、それ系のレストランが乱立していた事がありました。今となっては殆ど、閉店してしまったらしいですけど。
知り合いのイタリア料理のシェフに言わせれば、日本にあるイタリア料理のレストランなんて、殆ど似非物なんだとか。
それでもイタリアは取り締まるなんてしません。
当たり前です。
どんな料理であれ、値段に見合う、食べる価値のある美味しい料理を出せば、客はいくらでも付くのですから。看板をなんて出したとしてもです。
もっとも、美味しい店には、「本格的」とか「元祖」なんてご大層な言葉を並べなくても客は来るでしょうけど。
日本食にしてもそうでしょう。
ロンドンでどんな日本食料理を出そうと、それを美味しいと認め、お金出してでも食べたいという客がいるのであれば、店は続きます。
逆に認証があっても、誰にも食べてもらえなければ廃業するでしょう。
でも、それでいいのです。
それを行政が横からしゃしゃり出ることは無いんです。
こういうことを、考えて決める人間と言うのは、きっとロンドンにいても、いつだって最高級のお寿司や日本食を食べる事が出来る連中なのでしょう。
なんだか上から人を見下したような驕りを感じて仕方ありません。
ロンドンのスーパーにもパック詰めのお寿司が売っています。
はっきり言って、値段の割には米もネタも美味しくないので私は買いませんが、それを買う人だっています。嫌なら、自分が買って食べなければいい、それだけの話しです。
だから店に対して売るなとも、客に対して、買うなとも言う気はありません。
そんなものがあったところで、日本食への見方が全否定されるわけないのですから。
むしろいいものであるからこそ、亜流品や、それに似せた物が出てくるんですし。
もし日本食がコピーに負けるのでしたら、今度からそのコピーが日本食になるだけなのですし。
食の文化や歴史とはそうあったはずですし。
そもそも寿司と書いたり鮨と書いたり漢字は色々とありますがこれは全部当て字です。
本当は酢〆と書くのだそうです。文字通り魚を酢で〆ることによって味を引き締める所から来ているのですから。ただ字面が悪いので変えただけなのでしょう。
こんないい加減なものに対して、こうでなくてはいけない!なんて定義付けるなんて、出来るはず無いのに。
他にやることないのでしょうか、暇な人もいたものです。
ま、行政が口出すのは決まってお金が絡んでいるからなのでしょう。
認証制度を導入して、日本食と名乗るレストランに、日本からの海苔やお茶、その他の日本食材を沢山使わせるようにして輸出量を増やせば、誰かの懐に大金が転がり込むことになっているのでしょう。
まったくもって、どうして、ここまで恥知らずなことを世界に出来るのでしょう、日本の役人というのは。