1ポンドの重さ

 英国の重量とお金の単位が同じポンドなのは、
物の価値が金の重さで換算されていたからなのかなと
勝手に予想してみたりしながら、スーパーでお買い物です。
 
 ランドロード(大家)のアンドリューが缶詰の果物を食べていたのですが
何の缶詰かと思って見てみたら、なんとイチゴの缶詰でした。
 桃やみかん、パイナップルなら知っていますが、
まさかイチゴの缶詰まであるとは。
 生のイチゴの方が美味しいのでは?(甘いシロップ付けになっていて殆どイチゴの味がしないんです)と聞いてみたところ、高くて嫌なんですって。
 フレッシュ(生)のイチゴですと£1近くするけど缶詰のなら35ペンスで買えるのだとか。
 確かに量の割には安いです。
 
 物価の高さでは東京と世界一を争うほどのロンドン。
 でも生活必需品、特に食材に関しては驚くほど安いです。
  
 でもそれに加工したりという手間が途端に値上がりします。
 さらにそれを、暖めてすぐ食べられる状態にしたり、レストランや店先で食べられるようにしたりなんてことになると、極端に値段が跳ね上がるのです。
 
 もう少しコスト削減努力してお客さんに安く提供する、なんて考え方とは縁がないみたい。
 手間暇にかけた時間分、料金の方に上乗せするんだ、とか、外食出来るということはお金を持っているという事だから、そういう人間から思いっきり巻き上げてやろうとでも思っているのかも、なんて考えはちょっチ、穿った見方かな?
 
 ま、ここの部分だけを見ているから物価が高くて暮らしにくい街なんて言われるのでしょうね。
 例えば某有名コーヒーショップでクロワッサンを買うと1個につき£1です。
 当たり前ですがこの店で£1出してもクロワッサンは1個しか手に入りません。
 ですが同じ£1でもスーパーで買い物をしたら
 
 食パン 1斤 28ペンス
 マーガリン 500g 24ペンス
 瓶詰めのイチゴジャム 500g 34ペンス
 桃の缶詰 400g 14ペンス
 合計100ペンス=£1
 と、これだけの食料品が買えるのです。
 しかも、これは近所にあるスーパーで買い物をした場合であって
 もっと安いスーパーがありますから、そこなら同じ金額でもう1品か2品買えるでしょう。
 
 携帯電話やパソコン、デジカメ等は高いです。車は買うのも維持するのも保険も高くて持っている人は大変なんだとか。
 これらはまだまだ贅沢品と思われいるのでしょう。
 日本では、一昔前ならともかく今では必需品とすら思われているようですが。
 もっともそれはメーカー側に踊らされているに過ぎませんけど。

 

 『幸福の王子』を書いたオスカーワイルドはこんな言葉を残してました。
 ‘私達は不必要なものだけが必需品である時代に生きている’
 
 彼が何を指して言ったのかは分かりませんが、いつの時代であっても当てはまるのかもなのです。
 特に今って必要なものと要らないもの、大切なものとそうでないもの、残すべきものと消すべきものというのが、ひどく分かりにくい時代だという事は確かですから。