ガラスの向こうの風景

 採用の結果が出るまで漫然と待っているのもなんなんで短期のアルバイトなんてしています。
 願書の処理です。
 つまり私がミスをすれば、1人の人間の今後の人生が大きく変わってしまうのかもしれない、そんな仕事です。
 やってみたい…かも…
 なんて思う間もなくサクサク次から次へと運ばれてくる願書の束を規定に則り処理していました。
 願書それ自体は何とも軽く薄い物ではありますが、そこに込められた人の思いというのはどれ程大きいことか。
 本人だけでなくその家族にとっても。
 だから言いたい。
 封筒いっぱいになる大きさの厚紙と一緒に詰めると開けにくく、中の書類を取り出しにくいんです。
 クリップで中の書類を止める必要なんて全く無し!
 あれってホントに意味ない、どころか邪魔。
 普通に封筒に入れればいいのです。
 折り曲げてはいけない書類ありますが、そうしなくても済む大きさの封筒を予め用意してあるのですから。
 
 そんな事に神経遣うなら、記入漏れや必要書類の入れ忘れ、返信封筒に切手を張ってなかったりetc、なんてのを無くした方がよっぽどいいのに。
 実際ありますから、可哀そうな、といいますか残念な願書が。
 
 朝からの書類チェックに目と肩の疲れがピークに達したころ、やっとお昼休み。
 学校の周囲に食事が出来る場所が無いので、私も含めて殆どの人が控室でお弁当食べていました。
 ま、食事の仕方なんて人それぞれですから、あまりどうこう言うのもなんですが。
 女の子は何人かグループ作っておしゃべりしながら食べるのですが、男の子の場合、それも殆どのですよ、皆携帯電話見ながらご飯食べているのです。
 あれって何でなのかな?
 音は出ていませんから、音楽聴いたり、テレビ観ているわけではないみたい。
 メールしているのかなと思ったのですが、食べ終わった後もお昼休みの間ずっと、携帯電話見ているのです。
 別の子は近所のコンビニでカップラーメンを買ってきたのですが、ラーメンを食べているときも目はずっと携帯電話見ているのです。
 なんか呪いでもかけられているのでは?と思うくらい不気味でした。
 その画面の向こうに彼らは何を見ているのでしょうね?
 2〜3人で一緒にいる男の子もそれぞれ片手には携帯電話持っていて、携帯見ながら話ているのです。
 中には仕事中でも携帯電話をときたま取り出している子もいましたし。
 現場の人は慣れているのか、見つけても何も言いませんでした。
 でもこれっておかしい、と思う私がおかしいの??
 ま、こういう子って携帯電話を肌身離さず持ってて、ずっと携帯電話と共に生きて、死ぬ時も携帯電話を片手に一人で死ぬのでしょうね。
 ま、人間としての圏外にいなければ別に何したって構わないのですが。